『涙の女王』第13話では、ペク・ヒョヌがドイツでホン・ヘインの脳腫瘍を治療できる集束超音波手術を見つけ出します。しかし、手術には術前の長期記憶を失うリスクが伴っていました。ソウルで互いの初恋の真実を確かめ合い絆を取り戻したふたりですが、ドイツの病院前で命を選ぶか記憶を残すかという切実な決断を迫られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 該当回 | 第13話 |
| 提示された治療法 | 開頭手術を行わずに腫瘍組織を標的とするドイツ研究所の高密度焦点式超音波治療 |
| 手術のリスク | 海馬損傷の恐れによる、手術前の長期記憶の不可逆的な喪失 |
| 明かされた真実 | ピンクのMP3プレーヤーの持ち主と、バスでヘインが見つめていた相手の正体 |
消えた裏金とホン・マンデ会長が遺した告白
ホン・マンデ会長の死去直後、クイーンズ一族は屋敷の隠されたパニックルームへと向かいました。けれど、そこに広がっていたのは空っぽの金庫でした。巨額の裏金は、一歩先手を打ったモ・スラとユン・ウンソンによってすでに運び出されていたのです。モ・スラがこの莫大な現金をウンソンの盾として提示する動きからも、欲望を原動力に動く彼女たちの執念がはっきりと見て取れますね。

葬儀の場では、親族が集まり前会長が遺した最後の録音メッセージに耳を傾けました。富と権力を追い求めた生涯を自省し、家族へ謝罪の言葉を遺した会長の告白は、残された一族の心に重く響きます。生きるという根本の前に、財閥の繁栄がいかに脆いものであったかが浮き彫りになった瞬間でした。

墓前に一人佇むホン・ヘインは、これまで胸の奥に閉じ込めてきた本音をペク・ヒョヌに打ち明けます。当初宣告された3か月の余命がすでに過ぎ、祖父の死を目の当たりにしたことで、死への実感がより切実なものになったのでしょう。いつも張っていた強がりを解き、ただ生きたいと涙ながらに願う姿は胸に迫るものがありました。

ドイツからの吉報と突きつけられた代償
ヨンドゥリで休息を取るなか、ヒョヌの父ペク・ドゥグァンは渋柿を甘く熟成させる話を引き合いに出し、耐え忍べば苦難の後には甘さが巡ってくるとヘインの父ホン・ボムジュンを励まします。そんな折、ヒョヌのもとにドイツの研究チームから突然の連絡が入りました。


ドイツの研究所は、頭蓋骨を切り開くことなく集束超音波で腫瘍細胞を死滅させる臨床研究で成果が出ていると伝えてきました。奇跡のような報せに家族は安堵の涙を流しますが、ヒョヌの表情は硬いままです。この治療法には、病変部を狙う際に海馬を損傷し、手術前に築いた長期記憶のすべてを永久に失ってしまうという残酷な副作用が隠されていたのです。

ヘインが記憶喪失のリスクを知れば治療自体を拒みかねないと危惧したボムジュンは、現地に到着するまで副作用の事実を隠すよう懇願します。生きられるかもしれないという希望に胸を震わせ、嬉し涙を流すヘインを前に、ヒョヌは真実を胸の奥に押し込めたまま、一人でその重荷を背負い込みました。


ソウルでの穏やかな日常と回収された初恋のパズル
ソウルへ戻ったふたりは本邸には戻らず、ヒョヌのオフィステルで束の間の新婚のような暮らしを始めます。ヘインはマンションの住人に出くわした際も堂々と妻だと名乗り、ごくありふれた日常の温もりを噛み締めていました。

フォトブースで記念写真を残し、これからの険しい道について語り合うふたり。ヘインは良い思い出をガラス瓶にためたキャンディに例え、辛いときに一粒ずつ取り出して味わうものだと表現します。バッティング練習場でも、ヒョヌはヘインを生かすことだけが唯一の目的だと改めてその決意を固めていました。


ここで長年の伏線が綺麗に回収されます。ヒョヌが高校時代から大切に保管していたピンクのMP3プレーヤーは、実はイニシャルが刻まれたヘインの私物でした。校庭で出会った少女こそがずっと理想の女性だったと明かすヒョヌに、ヘインは手元に戻した指輪をはめ、百貨店の規則になぞらえて気が変わっても返品は受け付けないと告げ、離婚の取り消しを受け入れたのです。




ふたりのソウルでの温かなシーンでヘインが着用していた端正なテーラードジャケットやコーディネートに注目したい方は、『涙の女王』第13話の衣装解説もあわせてチェックしてみてくださいね。
クイーンズ百貨店の初雪とバスの男の正体
出国を前に、ヘインは客の視点からクイーンズ百貨店のフロアを歩きます。売り上げを伸ばすために休憩用ベンチを排除していた過去を省み、誰もが心地よく休める場所に改装することを誓いました。

外の広場にある巨大な電飾ツリーのそばに出ると、10月中旬にもかかわらず人工の粉雪が舞い降ります。ヘインのためにヒョヌが施設スタッフと連携して用意したサプライズでした。その雪景色を前に、ヘインはもう一つの謎を明かします。かつて残業終わりに372番バスに乗って後を追っていた片思いの相手こそ、ヒョヌ自身だったという事実です。自分自身に嫉妬していたと知って破顔するヒョヌの表情が、ふたりのソウルでの時間を幸せに締めくくりました。



ドイツの病院廊下の対峙と残されたビデオメッセージ
幸せな時間は、ドイツのがんセンターに到着した瞬間に打ち砕かれます。処置室の直前で、ヒョヌは超音波治療を受けると過去の記憶、これまでのキャリア、そしてふたりの関係性を含めた記憶がすべて消え去るという医療陣からの宣告を包み隠さず告げました。

ヘインはその場から後ずさりします。鋭い直感と築き上げてきた実績こそがアイデンティティである彼女にとって、記憶を白紙に戻されることは自分自身が死ぬことと同義だったのです。自分を失う手術には同意できないと踵を返すヘインの手を握りしめ、ヒョヌは涙を流しながら、損得や理由の計算を手放してただ生きてほしいと懇願しました。
その後、ヒョヌは一人自室でカメラを回し、自分のことを忘れて目覚めるかもしれない未来のヘインに向けてメッセージを残します。夫であると名乗り、たとえ記憶が消えてもふたりの思い出は自分がすべて覚えていること、そしてソウルで誓った通り新しい甘い思い出で再び瓶を満たしていくことを、レンズ越しに静かに語りかけました。
この医療危機がどのように企業の争いへと連鎖していくのかは『涙の女王』第14話あらすじ解説で、絡み合う伏線の行方は『涙の女王』第15話あらすじと結末解説で確認できます。
よくある質問
ドイツで提案されたホン・ヘインの手術内容はどのようなものですか?
開頭手術を行わず、集束超音波を用いて脳腫瘍の組織のみを標的にして破壊する先進的な治療法が提案されました。
ドイツでの超音波手術に伴う主なリスクは何ですか?
腫瘍を壊死させる過程で海馬を損傷する恐れがあり、手術前に形成された長期記憶がすべて永久に失われるリスクがあります。
ヘインが話していた372番バスの片思い相手は誰でしたか?
残業帰りに漢江を渡る372番バスで後ろの席から見守っていた相手は、他ならぬペク・ヒョヌ本人でした。
なぜホン・ヘインは手術室の前で処置を拒んだのですか?
記憶、築き上げたキャリア、愛する人たちとの絆をすべて失って生きることは、実質的に自分自身が消滅することと同じだと捉えたためです。